AGEs(エージーイー)ってなに?
AGEs(エージーイー)は、Advanced Glycation End Products(アドバンスド・グリケーション・エンド・プロダクツ)の略で、日本語では「終末糖化産物」と呼ばれています。
AGEsは、私たちの体の中や食べ物の中で発生する物質の一種です。通常、タンパク質や脂質が糖と結びつくことでできるもので、特に高温で調理されると増えやすくなります。
AGEsが体に与える影響とは?
AGEsが体にたくさんたまると、いろいろな健康問題が起きると言われています。以下は、AGEsが体に与える主な影響です。
老化が早まる
AGEsが体内で増えると、肌や血管の弾力が失われ、老化が早く進む原因になります。肌のシワやたるみもAGEsが一因とされています。
病気のリスクが高まる
AGEsは糖尿病や心臓病、さらには認知症などの病気のリスクを高めることもあります。AGEsが血管にたまると、血管が固くなってしまい、血液の流れが悪くなるからです。
AGEsができる仕組み
AGEsは、主に「糖」と「タンパク質」が結びつくことで作られます。この結びつきは「糖化反応」と呼ばれ、時間が経つとAGEsという物質になります。特に、次のような場合にAGEsが増えやすいです。
高温での調理
高温で焼いたり揚げたりすると、AGEsが増えやすくなります。例えば、焼き肉やフライドポテトはAGEsが多く含まれる代表的な食べ物です。
血糖値が高い
血糖値が高いと、体内での糖化反応が活発になり、AGEsが増えやすくなります。糖尿病の方が特にAGEsが多いのはこのためです。
各時代の食文化とAGEsの関連性
明治時代(1868年 – 1912年)
〈特徴〉
- 食生活は質素で、和食が中心でした。主に米、野菜、魚が主食であり、加工食品や高温調理は少なかった。
- 砂糖や油脂の使用量も少なく、現代のような「揚げ物」や「焼き物」などの高温調理は一般的ではありませんでした。
〈AGEsとの関連〉
- AGEsが増える原因である高温調理が少なかったため、AGEsの摂取量は現代よりもかなり低かったと考えられます。
- 肉の消費が少なく、和食中心の食生活だったため、体内でのAGEs生成も抑えられていた可能性が高いです。
大正時代(1912年 – 1926年)
〈特徴〉
- 明治時代と同様、基本的な食生活は和食中心であり、白米、魚、野菜などが主流でした。
- 洋食文化が徐々に普及し始め、パンや肉類の消費が増加。高温調理が少しずつ取り入れられ、焼き物や揚げ物が登場しました。
〈AGEsとの関連〉
- 肉料理が増えたことで、調理過程でAGEsが発生しやすくなりましたが、まだ全体的にはAGEsの摂取量は抑えられていたと考えられます。
昭和時代(1926年 – 1989年)
〈特徴〉
- 戦後には高度経済成長が始まり、食生活が大きく変化しました。肉や乳製品の消費量が急増し、洋食文化が定着しました。
- 特に、揚げ物や焼き肉などの高温調理が一般的に普及。砂糖の消費量も増え、加工食品が多く食卓に並ぶようになりました。
〈AGEsとの関連〉
- 昭和中期から後期にかけて、揚げ物や焼き肉といったAGEsが多く発生する調理法が一般家庭に広まり、AGEsの摂取量が増加。
- 加工食品が増え、これらの食品にもAGEsが含まれるようになり、知らないうちにAGEsを摂取する機会が増えました。
平成時代(1989年 – 2019年)
〈特徴〉
- ファストフードやインスタント食品、スナック菓子などの加工食品がさらに普及しました。食生活は一層西洋化し、炭水化物、脂肪、砂糖の摂取量が増加しました。
- 健康志向も高まり、野菜や果物を多く取る人も増えましたが、揚げ物や焼き物が定番の食事スタイルとして定着。
〈AGEsとの関連〉
- ファストフードや加工食品にはAGEsが多く含まれているため、摂取量がさらに増加。
- 食生活の多様化により、調理法のバリエーションが増えた一方で、高温調理によるAGEs発生のリスクが高まりました。
令和時代(2019年 – 現在)
〈特徴〉
- 健康志向が強くなり、AGEsの影響についても注目が集まっています。低温調理や蒸し料理、ノンオイル調理が流行し、AGEsを抑える意識が高まってきています。
- 一方で、コンビニ食品やファストフードは引き続き人気で、AGEsを多く含む食事が日常的に選ばれることもあります。
〈AGEsとの関連〉
加熱を控える調理法や、AGEsを抑える食材を選ぶことが一般化しつつあり、過剰なAGEs摂取を防ぐ工夫が進んでいます。
令和時代はAGEsに対する認識が高まり、減らすための工夫をする人が増えていますが、食文化や外食産業の影響でAGEsの摂取量が増える傾向も残っています。
日常生活でAGEsを増やさないための対策
AGEsを体内で減らすためには、いくつかの工夫が必要です。ここでは、簡単にできる対策をいくつか紹介します。
調理方法を見直す
AGEsが増えやすいのは、高温調理をするときです。蒸したり、茹でたりする調理法にすると、AGEsの量を減らせます。
AGEsが増えやすいとされる高温調理は、一般的に120度以上の温度で行われる調理を指します。AGEsは、特に180度以上の揚げ物や焼き物などの調理法で多く発生する傾向があります。
この温度範囲では、食材中の糖分とタンパク質が反応し、AGEsが生成されやすくなります。茹でる、蒸すなどの100度以下の調理法ではAGEsの発生が比較的少ないとされています。
食べるものに注意する
糖分の多いものをたくさん食べると、体内でAGEsが増えてしまいます。野菜や果物、全粒穀物など、糖分が少ない食品をバランスよく食べることが大切です。
血糖値をコントロールする
適度な運動や食事の工夫で血糖値をコントロールすることが、AGEsを抑えるために役立ちます。朝ごはんをしっかり食べることも、血糖値を安定させるためには重要です。
血糖値が高いと、体内に余分な糖が多くなり、これがタンパク質と結びつきやすくなります。
高血糖状態では、AGEsが血管や細胞に蓄積し、酸化ストレスや炎症が増加します。これにより、細胞や組織がダメージを受け、老化や病気のリスクが高まります。
AGEsの抑制につながる食べ物
以下の食材を日々の食事に取り入れることで、AGEsの生成を抑え、体の健康維持に役立てることができます。
抗酸化物質が豊富な食材とは?
抗酸化物質はAGEsの生成を抑える働きがあります。特に以下の食品には抗酸化物質が豊富です。
- ベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、イチゴなど):ビタミンCやポリフェノールが豊富で、抗酸化作用が高いです。
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ケール、ブロッコリーなど):ビタミンC、ビタミンE、βカロテンが豊富です。
- ナッツ類(アーモンド、クルミなど):ビタミンE、ミネラル、健康的な脂肪酸を含み、酸化を防ぎます。
食物繊維を多く含む食材
食物繊維は血糖値の急上昇を抑え、糖化反応を抑制します。特に以下の食品が良いでしょう。
- 全粒穀物(玄米、オートミール、全粒パンなど):消化がゆっくり進むため、血糖値が安定します。
- 豆類(レンズ豆、ひよこ豆、黒豆など):食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を抑えます。
- 野菜類(キャベツ、ブロッコリー、ピーマンなど):低糖質で、食物繊維が多く含まれています。
タンパク質源として優れた食材
糖質が少なく、血糖値を上げにくいタンパク質源を選ぶことが、AGEs抑制に効果的です。
- 魚類(サーモン、イワシ、サバなど):オメガ3脂肪酸を含み、抗炎症作用があります。
- 豆腐や納豆などの大豆製品:植物性タンパク質が豊富で、血糖値の安定に役立ちます。
- 卵や鶏むね肉:血糖値にほとんど影響を与えないタンパク質源です。
低GI食品
GI(グリセミック・インデックス)が低い食品は、血糖値の上昇が緩やかです。低GI食品を選ぶことで、AGEs生成を抑えることができます。
- さつまいもや山芋:糖質は含まれていますが、GI値が低く、血糖値が急激に上がりません。
- りんごや梨:フルーツの中でも比較的低GIで、ビタミンや食物繊維も豊富です。
- 雑穀類(キヌア、アマランサス、もち麦など):消化が遅く、血糖値の安定に寄与します。
香辛料・ハーブ
一部の香辛料やハーブもAGEsの生成を抑える効果があります。
- シナモン:血糖値を安定させる効果があり、糖化反応を抑制します。
- ターメリック:クルクミンが含まれ、抗酸化作用がAGEsの抑制に寄与します。
- 緑茶:カテキンが豊富で、抗酸化作用が強く、AGEsを抑える効果が期待できます。
AGEsを理解して健康な生活を目指そう!
AGEsは私たちの体に悪い影響を及ぼす物質ですが、食べ物や生活習慣に気をつけることで減らすことができます。AGEsが増えないようにするための工夫を日常に取り入れ、健康で若々しい体を保ちましょう。
〈参考情報〉